神経痛（三叉神経痛）と鍼灸治療

三叉神経痛という名の通り三叉神経に原因があるとされる三叉神経痛。
三叉神経は顔の皮膚と､口の中の粘膜､歯と歯茎の感覚を司る
脳神経のなかで最も大きな神経です。

眼神経、上顎神経、下顎神経の三つの知覚神経に分かれていますが、
下顎神経には運動神経も入っています。

眼神経は眼球、結膜、上眼瞼、涙腺神経、前頭部、鼻背の皮膚、鼻腔前部、などの
感覚系を支配しています。
上顎神経は上顎の歯、頬の皮膚、上顎洞、口蓋と上唇の粘膜、頬粘膜、
眼窩下神経などを支配しています。
下顎神経は側頭部の皮膚、頬後部の皮膚、下歯、歯肉、下の前三分の二、
下唇の粘膜など感覚系・咀嚼筋などの運動系を支配します。

これら全てを総合して三叉神経とします。

一言で言うと三叉神経痛の症状は
顔や歯の鋭い痛みです。
三叉神経は顔の皮膚と､口の中の粘膜､歯と歯茎の感覚を司ると説明した通り
これらのいずれかにピリッとした感じの瞬間的な鋭い痛みがあれば
三叉神経痛の可能性はあります。

例えばこんな症状はありませんか?

・歯磨きの時に歯に激痛がある
・化粧をする際顔面が痛む
・洗顔時に顔面が痛む
・食事の際、歯が痛む
・顔の特定の箇所に触れると痛みが走る
・髭を剃る時顔面が痛む

などです。
（瞬間的な痛みでずーっと痛むと言うものではないので
痛みを発する時、発作と呼びます。）

最初は痛みも鈍く、頻度もそんなに頻繁ではないので
我慢できてしまうんですが、そのうちに痛みも頻度も増してきます。

問題はこの三叉神経痛はそんなに知られていないことです。
例えば、歯がすごく痛むので歯医者にかかっても
虫歯などではないので異常なしとされます。
でも痛みは増すばかりで原因もわからず
どうすればいいかわからない、といった具合ですね。

原因不明なまま何年も痛みに耐えている
と言った方が多いんです。

どの病院の何科にかかれば良いかもわからない、
だからどうしようもない。

まず、このような症状で
ひょっとして三叉神経痛の疑いがある場合
病院にかかるなら､脳神経外科です。

顔面の痛みで脳神経に関わる部位の神経痛ですからね。

眼神経、上顎神経、下顎神経に分かれている三叉神経は
顔面の皮膚全般にくまなく張り巡らされている神経です。

顔の感覚を司り、皮膚感覚を拾い上げて脳に伝えます。
軽くさわった感じ(触覚)､痛み(痛覚)､熱い冷たい(温度覚)などを伝えているんですね。
センサーだと思ってください。

皮膚全域に貼り巡っている神経は脳幹に入る手前で一つにまとまります。
脳幹を経て大脳へ伝わり、大脳が痛い､熱いなどの皮膚感覚を認識します。

三叉神経痛はほとんど三叉神経に自分の動脈が接触するために起きます。
動脈というのは、心臓から送り出される血液によって
ドクドクと脈動しています。
ドクドクとなる度に神経に動脈が当たって刺激します。
これが続くと神経を覆う細胞が傷つき、そこで電気ショートのような現象が起きます。

よって瞬間的に鋭い痛みが起きるんです。

ただ、これも一例で血管が当たっていなくても起きる場合があります。
神経の走行がゆがめられている場合もあれば腫瘍など、別の病気により
神経痛を生じている場合もあります。
例えば多発性硬化症の症状であったり、帯状疱疹の後遺症のこともあるとされます。
つまり原因とされるものが様々あるので原因が分かりづらいんです。

こうした三叉神経痛の治療は
抗てんかん薬だったり血管と神経を移動させる手術だったり、一点集中で放射線を照射する、
神経ブロックという神経を麻酔薬で麻痺させる方法などその症状により様々です。

もちろん、手術できない方、薬が合わない方など治療法全てが患者さんに適合するかといえば
そんなことはありません。

そんな方には当院では鍼灸治療をおすすめしています。
鍼灸治療は、痛み・しびれなどの症状がエスカレートしない、内服薬のように
疲労感、ふらつきなどの副作用が出ないなどのメリットがあります。
なので発症期間が短い、服用する薬の量も少ない方には有効です。

鍼灸治療は痛みがある場所のツボ・反応点、また痛みと関連する経絡などを中心に行います。
慢性の痛みに対して効果があるのが鍼灸です。

突発的に起きる激痛はとても辛いですよね。
痛みの発作は安定しているときは出ませんが、
冬など寒い時期には頻繁に起こりやすくなります。

これからの季節、神経痛をお持ちの方は注意して

---