鍼について
鍼は中国で発生した治療法です。東洋医学と結びついて確立された
現代の鍼治療は数千年を経て、ようやくエビデンスが明らかにされつつあります。
東洋医学の考え方には「気」という思想があります。
これが後の経絡という考え方の基本です。
人体には気(エネルギー)の通り路があるとされ、その路には気が溜まりやすい、あるいは気が漏れやすい、反応が出やすいツボ(経穴)がある。
そして、経絡は体の臓腑、器官と皮膚を結びつけていて、内臓に異常が起きると皮膚(体表)に変化が出る、と。
その変化は特にツボ(経穴)に現れやすい。
例えば、胃の調子が悪い→背中の主に左が張っている。
といった具合ですかね。
異常な反応が出ている部分のツボを刺激すると、内臓の調整もできる、
という事が発見されて、今の鍼治療の確立となっているんです。
身体には361箇所のツボ「経穴」が存在すると言われています。ツボの大きさは一般的に500円玉ほど。その範囲で刺激をすれば、ある程度の効果が見込まれますが、人によって最も有効なポイントは異なります。
日本では6世紀頃、中国からもたらされ、日本独自の発展を遂げてきました。
変化が大きくあったのが江戸時代。
鍼管という管の中に鍼を入れて打ち込む管鍼法という方法が生まれたんです。
皮膚を刺す痛みが少なく初心者でも鍼を刺せるという画期的な方法でした。
また、日本の技術で髪の毛くらいの細さの鍼も考案されます。
こうして、改良を重ねて発展してきたのが今の鍼治療です。
鍼は数千年にわたる膨大な臨床経験に裏付けされたものです。
鍼の刺激が神経系、内分泌系、免疫系などに作用し血流改善、内臓機能の調整、鎮痛作用、免疫力の向上など、多くの効果があることがわかっています。
お灸について
お灸は、二千年以上前に古代中国の北部地方で発祥したとされています。が、古代インドやチベットが起源とする説もあります。日本に伝わったのは6世紀頃。弘法大師・空海が中国(唐)から持ち帰ったとも言われています。
やはり鍼と同様、江戸時代に大きなブームが起こっています。
当時は「足三里」というツボにお灸をして旅をすることが一般的だったようです。
お灸で使う艾は、乾燥させたヨモギの葉を精製して作られます。ヨモギには薬効成分(健胃、利尿、解熱、止血等)が多々含まれており、草餅にして食べたり、煎じて飲んだり、お風呂に入れたりと、実に昔から使用されてきました。なじみ深いですね。
お灸により免疫機能、代謝機能が高まり、病気になりにくい身体を作ることが周知されています。副作用も少なく、冷え症や月経痛、不妊症などの婦人科系の疾患にも効果的です。
身体の芯から温めじっくり治す、予防医学としての期待も高まりつつある現代にもってこいの治療法だと思います。