廿日市の鍼灸整骨院が教える、後頭神経痛と枕の関係性

後頭神経痛
こんにちは、いりえです。
ここ廿日市市でも、冷え込みが厳しくなり不調を訴える方が増えてまいりました。
さて、そんな中、今回のテーマ「後頭神経痛」です。

こんなことありませんか?
朝起きた瞬間から後頭部がピリピリ痛む、あるいは寝返りを打つたびに
電気が走るような痛みがある……。
実はその悩み、毎日使っている「枕」が原因かもしれません。

後頭神経痛は、首の筋肉や骨の隙間を通る神経が圧迫されることで起こります。
人生の3分の1を占める睡眠時間中、ずっと首を支え続けている枕が合っていなければ、
神経が悲鳴を上げるのは当然と言えますよね。

今回は、鍼灸整骨院の視点から、後頭神経痛を引き起こす「NG枕」の特徴と、
神経への負担を最小限に抑えるための選び方を徹底解説します。

その頭痛、実は「枕」が引き金かも?

なぜ「合わない枕」が後頭神経痛を招くのでしょうか?
後頭神経(大後頭神経・小後頭神経)は、頸椎(首の骨)の上部から出て、
後頭部の筋肉を貫くようにして頭頂部へ伸びています。

頸椎、つまり正常な首の骨は、緩やかな「C字カーブ」を描いています。
しかし、枕の高さが不適切だとこのカーブが強制的に伸ばされたり(ストレートネック状態)、
逆に過剰に反らされたりします。
頸椎の「アーチ」の崩れが起きちゃうんですね。
この状態が非常に良くないんです。

なぜ頸椎の「C字カーブ」が崩れると激痛が走るのか。
その形が崩れるだけで、後頭部にピリピリとした激痛が走るのは
頸椎(首の骨)が持つ「クッション機能」と「神経の通り道の確保」という
2つの重要な役割が関係しています。

正常なC字カーブは、約5kg(ボウリングの球1個分)もある頭の重さを、
バネのように分散して支えています。
しかし、合わない枕によってこのカーブが消失し「ストレートネック」状態になると、
その重みはすべて首の付け根(頸椎1番・2番)にダイレクトにかかります。

後頭神経はまさにこの「首の付け根」の隙間から外へ出てくるため、
クッション性を失った首では、骨と筋肉によって神経が
常にギブスで締め付けられているような状態になってしまうのです。

さらに、C字カーブが崩れると神経を保護する「後頭下筋群」の
酸欠状態になってしまいます。詳しく説明しますね。

C字カーブが崩れると、頭の位置が本来よりも前方にスライドします。
すると、頭が落ちないように支えるために、首の後ろにある「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」が
24時間フル稼働で働き続けなければなりません。
つまり、

カーブがある時: 骨が重さを支えるので、筋肉はリラックスできる。

カーブが崩れた時: 筋肉が骨の代わりに重さを支え、常に「力こぶ」を作ったような硬い状態になる。

この過緊張状態の筋肉は、血流を阻害し「酸欠」に陥ります。
筋肉が酸欠になると、痛み物質が発生するだけでなく、
その筋肉の中を貫通している後頭神経を強く圧迫し、あの嫌なピリピリ感を引き起こすのです。

それから、神経の「出口」が狭くなるという状態にもなります。
頸椎が正常なカーブを描いているとき、神経が出てくる隙間(椎間孔など)は
最も広く保たれるように設計されています。
枕が高すぎて顎が引けすぎたり、逆に低すぎて頭が反り返ったりすると、
この「神経の出口」が物理的に狭くなります。

特に、後頭神経痛に関与する「大後頭神経」は、頸椎2番のすぐそばを通ります。
カーブが崩れてこの数ミリの隙間が狭まるだけで、神経は容易に干渉を受け、
頭頂部まで響くような放散痛を招くのです。

要注意!後頭神経痛を悪化させる「合わない枕」4つの特徴

多くの患者様を診てきた中で、後頭神経痛を抱える方が共通して使っている
「NG枕」には特徴があります。

① 高すぎる枕(顎が引けすぎる)

高い枕は、常に「下を向いてスマホを見ている時」と同じ負荷を首にかけます。
頸椎が引き伸ばされ、後頭部の出口で神経が常にストレッチ(牽引)された状態になり、
炎症を引き起こします。

② 低すぎる・または枕なし(顎が上がりすぎる)

「枕はないほうが良い」という説を信じて失敗するパターンです。
枕が低いと、頭が後ろに倒れ込み、首の付け根が圧迫されます。
これにより、後頭下筋群が押し潰され、神経の通り道が狭くなります。

③ 柔らかすぎる枕(沈み込みすぎる)

低反発素材などで頭が深く沈み込みすぎると、寝返りが打ちにくくなります。
寝返りは、局所の圧迫をリセットするための生理現象です。
寝返りが打てないと、特定の神経ポイントが数時間圧迫され続け、起床時の激痛に繋がります。

④ 横向き寝に高さが足りない

肩幅があるにもかかわらず低い枕を使っていると、
横向きになった際に首が横に折れ曲がります。
これにより、片側の後頭神経が強く圧迫され、
「片側だけが痛む後頭神経痛」を誘発します。

枕選びは「骨の並び」の再構築

整骨院の臨床現場では、患者様の首を触れば「あ、この方は枕が高すぎるな」と
すぐに分かります。それは、特定の骨が後ろに突き出ていたり、
後頭下筋群が鉄板のように硬くなっているからです。

枕選びの目的は、単に「柔らかくて気持ちいい」ことではなく、
「寝ている間に頸椎の正しいC字カーブを再構築し、
神経の出口を広げてあげること」
にあるのです。

後頭神経痛とストレートネックの深い関係

先ほどチラッと触れましたが「ストレートネック(スマホ首)」は
後頭神経痛とは切っても切れない関係にあります。

本来、頸椎にあるべき「C字カーブ」が消失し、
真っ直ぐ(あるいは逆カーブ)になってしまうストレートネック状態では、
頭の重みが分散されず、首の付け根に集中的な負荷がかかります。
この「首の付け根」こそが後頭神経の出口であるため、
ストレートネックの方は慢性的に神経痛を引き起こしやすい土壌ができあがっているのです。

「枕を変えても痛みが引かない」「長年ストレートネックだと言われている」という方は、
枕の見直しと同時に、骨格の歪みそのものを整える必要があります。

あなたの首は大丈夫?「頸椎カーブの崩れ」セルフチェック法

自分の首のカーブが今どうなっているのか、壁を使って簡単にチェックしてみましょう。
【1】壁に背を向けて、かかと、お尻、肩甲骨を壁にピタッとつけます。
【2】このとき、「後頭部」が自然に壁につくかを確認してください。

・正常: 意識しなくても自然に後頭部が壁につく。
・カーブの崩れ(予備軍): 意識しないと後頭部が壁につかない、または顎が上がってしまう。
・ストレートネックの可能性: 後頭部が壁から離れており、無理につけようとすると首の後ろが苦しい。

もし後頭部がつきにくい場合は、寝ている間も首の筋肉が休まらず、後頭神経を圧迫し続けている可能性が高いです。

鍼灸整骨院が推奨する「神経に優しい枕」の選び方

プロの視点から、理想的な枕の条件を3つに絞ってお伝えします。

■「仰向け」で視線が真上よりやや足元を向く高さ…横から見た時に、首の骨のカーブが自然に保たれ、首の後ろに隙間ができないものが理想です。

■「横向き」で鼻筋が布団と並行になる高さ…肩の高さ分をしっかり補い、首が左右に傾かないことが重要です。

■「適度な硬さ」と「寝返りのしやすさ」… 頭が沈み込まず、ゴロゴロと楽に寝返りが打てる高反発な素材や、パイプ素材が適しています。

●プロのアドバイス: 今すぐ試せる方法として、バスタオルを数枚重ねて「自分専用の高さ」を作ってみてください。数ミリ単位で高さを調整し、後頭部のピリピリ感が軽減するポイントを探るのが最も確実です。

枕を変えても痛みが引かないあなたへ

枕を新調しても痛みが続く場合、すでに筋肉の緊張が「慢性化」しているか、
頸椎の配列(アライメント)が固定化されている可能性があります。
このような状態では、セルフケアだけで解決するのは困難です。

■鍼灸施術: 深層にある後頭下筋群に直接アプローチし、神経の炎症を鎮めます。
■骨格矯正: 枕に合わせるのではなく、枕を正しく使える「正しい首のカーブ」へ骨格を整えます。

プロ直伝!カーブを取り戻す「頸椎リセット・ストレッチ」

崩れてしまったカーブを再構築し、神経への圧迫を逃がすためのストレッチをご紹介します。特に「合わない枕」で寝た翌朝や、デスクワーク後に行うと効果的です。

① 顎押しリセット(チンイン・エクササイズ)
ストレートネックで前方に出た頭を、正しい位置に戻すための運動です。
1.背筋を伸ばして正面を向きます。
2.人差し指で顎(あご)を水平に後ろへ押し込みます。
3.二重顎を作るイメージで、首の後ろをぐーっと伸ばし、5秒キープ。
4.これを5〜10回繰り返します。

●ポイント: 頭を下に向けるのではなく、水平にスライドさせるのがコツです。

② タオルを使った「カーブ再生」ストレッチ
枕の代わりにタオルを使い、首の骨に直接カーブを覚え込ませます。
1.フェイスタオルの両端を持ち、首の真後ろ(一番くぼんでいるところ)に当てます。
2.斜め上方向にタオルを軽く引き上げながら、頭をゆっくり後ろに倒します。
3.タオルの抵抗を感じながら、心地よい範囲で20秒キープします。

●ポイント: 強く引きすぎず、首の骨を一本ずつ優しく持ち上げるイメージで行ってください。
「枕を変えること」は外部環境を整えること、「ストレッチをすること」は自分自身の構造を変えることです。
後頭神経痛の根本解決には、この両輪が欠かせません。

もし、ストレッチをしても痛みが強まる場合や、手のしびれなどを伴う場合は、
無理をせず当院のような専門機関にご相談ください。
あなたの首の状態に合わせた、安全で効果的な「カーブの復元」をお手伝いいたします。


さて、今年も残すところあとわずかとなりました。
本年も多くの患者様とのご縁をいただき、心より感謝申し上げます。 
皆様、どうぞ健やかで輝かしい新年をお迎えください。

廿日市の整骨・整体はいりえ鍼灸整骨院へ。慢性的な痛みの緩和だけでなく自律神経の調整も行っています。
肩こり腰痛、自律神経の調整から交通事故の治療まで 廿日市市地御前 いりえ鍼灸整骨院におまかせ

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入江院長
「痛みや不調にお悩みの方、ぜひご相談ください」

 ●いりえ鍼灸整骨院・院長 入江 毅

《経歴》
・関西鍼灸短期大学卒業 在学中に鍼師・灸師免許取得
・大阪にて鍼灸整骨院に勤務
・国際東洋医療学院柔道整復学科にて柔道整復師免許取得
・山口市の医療法人内鍼灸整骨院にて院長として約6年間勤務
・広島県内鍼灸整骨院にて4年間勤務
・業界17年の知識と経験をもとに廿日市市地御前に「いりえ鍼灸接骨院」を開院

《資格》 ■鍼灸師 ■柔道整復師(国家資格)